自分で遺言書を作りたい

私は、今年で古希を迎えるところ、将来的に妻や子供たちが遺産相続で揉めないよう遺言書を作成しようと思います。公証人に作成をお願いすることもできるようですが、私は、自分自身で遺言書を作成する予定です。その際に気をつけるべきことがあれば教えて下さい。

通常、遺言者自身が作成する遺言書を自筆証書遺言と言います。

自筆証書遺言は、公証人にお願いして作成してもらう公正証書遺言とは異なり、作成費用を抑えることができる、いつでも自由に作成したり、その内容を書き換えることができるといったメリットがあります。

しかし、民法で定められた形式を備えていない場合には無効となる、偽造等の疑いがかかりやすいといったデメリットもあることから、ご自身で遺言書を作成する場合には十分な注意が必要です。

まず、形式面での注意事項としては、必ず、遺言者が、その全文、作成した年月日、氏名をすべて自書して、名前の横に印鑑を押すことが必要です。

ですので、パソコンで作成した遺言書や他人が代筆した遺言書はすべて無効です。

作成した年月日は、西暦表記でも元号表記でも構いませんが、「平成○年△月吉日」などとは書かず、実際に作成した日にちを記載してください。

また、もし少しでも間違えた場合には、民法の定める訂正の方法は非常に厳格ですので、訂正するのではなく、改めて書き直すことを強くお勧めします。

つぎに、具体的な内容面での注意事項ですが、遺言書は遺言者が亡くなったあとに開封される以上、第三者がその文面だけを見て、誰がどの遺産を相続するのかを明確に理解できるような内容にしましょう。

また、「遺言者は、遺言者の有する一切の財産を、妻Aに相続させる。」といった類の遺言書をしばしば見かけますが、もし妻A以外に他の法定相続人(たとえば子供など)がいた場合、子供の遺留分(相続に対する期待権)を侵害する結果、遺言書を作成したばっかりにかえって揉めてしまうこともあります。そのため、遺言書を作成する場合には、全法定相続人の遺留分を侵害しないよう、十分に配慮することが必要です。

このように自分で遺言書を作ることは、簡単なようで実は難しい問題を含んでいることから、少しでも疑問に思うことがあれば、弁護士など法律の専門家に相談した方が間違いありません。