第163回  戦争イコール犯罪

ロシアによるウクライナへの侵攻開始(2月22日)から既に3か月余り経過しました。今日までの間、一体、何人の方々の命が奪われたでしょうか。失われた命は2度と返ってきません。流された涙の量はいかばかりでしょうか。破壊された建物や街の復興にどれだけの日数と費用がかかるでしょうか。想像を絶するものがあります。「戦争だから仕方ない。」などとは決して言えません。戦争には必ず、「殺人」「傷害」「強盗」「窃盗」「器物損壊」等の犯罪を伴います。平時であれば間違いなく重罰の対象となる行為が、戦時において軍服を着た者らによって実行された場合には罰せられないのですから、戦争とは本当に異常でおそろしいものです。 そのような中でも、先日、ロシア軍の若い兵士がウクライナで罪を犯したとしてウクライナの裁判所で裁判にかけられていました。若い兵士は仲間とともに盗難車に乗ってウクライナの自動車販売店に現れ、同店のオーナー(62歳)と守衛の男性(65歳)(いずれも民間人)が無抵抗であるのを確認したにもかかわらず、2人の背中に向かって繰り返し発砲し、その後に略奪や飲酒にも及んでいたというものです。日本の刑法であれば、おそらく強盗殺人罪でしょう。その兵士はまだ21歳と若く、軍人をしていなければ映画俳優にもなれるほどの美青年でした。平時であれば決して上記のような蛮行を行うことはないでしょう。それが軍服を着て戦地に行くと無抵抗の民間人を撃ち殺した上にその殺害現場で仲間たちと楽しんで酒を飲むのですから、まさに鬼畜です。戦争は人間そのものを変えてしまう狂気の沙汰と言えるでしょう。そう言えば、ベトナム戦争の時、アメリカ兵が射殺したベトナム人の耳を切り取ってその数を競っていたということもありました。 このように戦争はそれに関与する人々を変えたうえ、すべての人々を不幸にしてしまいます。決して起こしてはならない所業なのです。 しかし、現実にロシアはウクライナに対して戦争を起こしました。一体、この戦争はいつ終わるのでしょうか。ウクライナの人々はいつ救われるのでしょうか。 目を日本に転ずると、周囲にはロシアのみならず、ロシアと親和性の高い中国・北朝鮮などの物騒な国々もあります。中国は尖閣諸島や台湾への進出を繰り返していますし、北朝鮮はミサイル発射を繰り返しています。日本に戦争の魔の手が及ばないという保障はどこにもないのです。 今、ここで真剣に「日本を守るためにはどうすべきか」ということを考えなければなりません。 民間人を殺害した若いロシア兵が犯罪として裁判にかけられていますが、それ以前に、戦争そのものが犯罪です。「1人殺せば悪党だが、100万人殺せば英雄」などの言葉は嘘です。絶対に許されないもの、それが戦争です。 今回のロシア・ウクライナ間の戦争、決して第3次世界大戦への入り口としてはならないのです。各国の指導者の方々は叡智を出し合って、この戦争を早急に終結させて下さい。これ以上、無益な血が流れることは止めて下さい。1人の血の陰にはその数倍の涙があるのですから・・・。 ここで、徳川家康が言ったとされる次の言葉を思い出すべきなのでしょうか。 「相手から意に沿わぬことを命じられたとき、相手に翻意の可能性がなければ、その命令に従うか戦うかの2つに1つしかない。それでは、このような状況にならずに戦いを回避するには如何にすれば良いか。それは1つ、己が力をつけることである。さすれば、相手はいきなり命ずることはなく、先ず協議を呼びかけてくるであろう。そして、こちら側の意見も取り入れて決断を下すことになるのである。」