第150回  裁判は面白い

この頃、興味深い裁判が2件ほどありました。
1 同性婚裁判
同性間の結婚が認められないのは憲法が保障する「婚姻の自由」に反するなどして、北海道のカップル3組が国に対して損害賠償を求めた訴訟。3月17日、札幌地裁は次のような判決を出しました。
①同性愛者のカップルが婚姻によって生じる法的利益を受け得ないとするのは同性愛者の保護にあまりにも欠けるので、異性愛者間の結婚しか認めない民法などの規定は「法のの平等」を定めた憲法14条1項に違反する。
しかし、②民法の規定が憲法14条1項に違反する状態に至っていたことを国会が認識することは容易ではなかったから、違法ではない。③よって、国は損害賠償責任を負わない。
うーん。何とも、良く分からない判決。「違憲だけど、違法ではない。」と言っているらしい。しかし、憲法より上の法律はないはず。憲法に違反するなら、それは違法と考えるべきではないのでしょうか。
「婚姻」(=「結婚」)とは一体、何なのでしょうか。色々と考えさせられました。請求を棄却された原告らが控訴したみたいなので、札幌高裁で再度判断されることになりました。「請求棄却」につき、被告の国が勝っていますので、もしも原告らが控訴していなければ、この札幌地裁の判決が確定し、裁判史に残るところでした。



2 公職選挙法違反事件

もう一つは、法務大臣までやったことのある国会議員のAさんの事件です。
Aさん、2019年7月の参院選で地元議員ら100名に対し現金計約2900万円を配ったとして逮捕されました。買収容疑です。当初は容疑を否認していましたが、途中で弁護人らを解任しました。おそらく、「保釈も取りきらん、つまらん弁護士」と思ったのではないでしょうか。
しかし、その後、再び同じ弁護人らを選任し、8カ月超の長きに亘る勾留を経て、ようやく保釈されました。その後、一転、買収の事実を認め始めました。おそらく、「容疑を否認しても無罪にはならん。」「刑務所には絶対に入りたくないので、何としても執行猶予を取りに行こう。」と、考えを変えたものと思われます。法廷では強く改悛の情があるように示すのみならず、①逮捕後に受け取った議員歳費につき寄附する、②二度と立候補しない、③これまで培った経験、人脈などを活用し、国家・国民のために貢献させていただきたい、と述べたそうです。
うーん。何としても実刑を避けて執行猶予を取りたいとの気持ちは十分に理解できますが、一連の訴訟の流れやこれらの発言を聞いて、このAさんのことを「本当に反省しているから、もう一度更生の機会を与えよう。」と考える裁判官がどれだけいるでしょうか。むしろ、「刑を軽くしてもらうためにそこまでするとは見苦しい。」と考えるのではないでしょうか。
我々も、刑事被告人の弁護をする場合、徹底的に「否認」して無罪で争うのか、それとも、「認め」て改悛の情を示して「執行猶予狙い」でいくのか、常に悩むところです(もっとも、被告人がやっていれば、「無罪」を主張することはありません)。ただし、第三者的立場に立ってAさんの一連の訴訟態度を見た場合、「改悛の情が顕著である。」というのを通り過ぎて、「みっともない。」「見苦しい。」と見えてしまいます。今後、刑事弁護する場合、十分に注意しなければなりません。

札幌地裁の裁判といいAさんの裁判といい、裁判はいろんな人間模様が見えて、本当に面白い。