第126回   平成よ、さようなら

第126回   平成よ、さようなら
2019年3月29日
平成よ、さようなら
平成もあと1ヶ月でおしまいです。平成天皇の誕生日と私の誕生日が同じ日(12月23日)だったので、今までは「天皇誕生日」と言って自慢できていましたが、これからはそれが叶わず、悲しいかぎりです。
さて、平成の31年間を振り返ってみると、県内でもいろいろな出来事がありました。刑事事件としては、2000年(平成12年)に野津町で発生した15歳の少年による一家6人殺傷事件や2001年(平成13年)の自民党県連会長(当時)の収賄事件などが県民の耳目を集めましたが、当事務所が関与した事件としては、2008年(平成20年)の教職員汚職事件が記憶に残っているところです。
2008年当時、私は某ローカルテレビ局のコメンテーターとして出演していました。その時のニュースの中で、県内の教員の幹部数名が自分の子どもを教員採用試験で合格させてもらうために教育委員会に多額の商品券(賄賂)を送っていたということで、逮捕されたのです。テレビの中でコメンテーターである私は、「とんでもない。」「聖職にある教員が何を考えているのか。」などと、かなり手厳しい発言をしたと思います。ところが、同番組の放送が終わり、事務所に戻ったところ、うちの事務所の弁護士がその汚職した教員の弁護人になっていました。そのため、しばらくの間、コメンテーター出演を自粛していました。その事件の刑事裁判は全国で大々的に報道され、大分地裁には裁判所始まって以来の大勢の報道陣が日本中から集まってきていました。その時、大失敗をしてしまいました。被告人となった教員の顔をテレビカメラに映されないように、車で事務所と裁判所の間を往復しようとしたのですが、公判後、車に乗って帰ろうとしたところ、裁判所の前の赤信号に引っかかってしまい、車の中の被告人を長時間、テレビカメラの餌食にしてしまったのです。非常に申し訳ないことをしたと、今も反省しています。あれから10年が経ちましたが、大分県の教育界は正常に戻ったのでしょうか。正常になったと信じたいところです。
他方、民事事件も平成の間にかなり変化がありました。先ず、一般民事事件が減り、離婚や遺産分割などの家事事件が増えました。個人の権利意識が強くなったためでしょうか。この頃、離婚の相談ばかり受けているような気がします。また、一時期は貸金業者が多く、借金を返せない人の自己破産がかなりありましたが、最高裁が過払金返還請求を認めてから立場が逆転し、貸金業者の方が廃業に至るケースが増えました。そして、民主党政権時代に亀井静香金融担当大臣が導入した中小企業金融円滑化法(いわゆる亀井モラトリアム法)により、中小企業の倒産件数は大幅に減少しました。その後のアベノミクスに引き継がれましたが、そろそろ終焉に近づいているという気もします。当事務所の顧問先であった大手建設会社も倒産しましたが、同社の役員・社員の方々はその後も大分県内の各種企業に再就職し、大分経済を牽引され、ご活躍されています。誇らしい限りです。
終わってみると、アッという間の平成でした。次の元号が何になるか分かりませんが、決して歩みを止めることなく、着実に進んでいきたいものです。