第12回 ブランド

第12回 ブランド                                                         
                                                        -2009年7月10日
ブランド
 ルイヴィトン、ココシャネル、グッチ、エルメス等々、世界に冠たるブランド商品は多数あります。ブランド商品が、人気が高く値段も高額なのは、その商品の技術力が優れているのは勿論のこと、長年に亘り培われた信用を大切にしてきたからです。その信用は、一朝一夕にできるものではありません。短くても何十年、長くて何百年という歴史をかけて作られてきたものです。
 弁護士の世界でも、東京の方では、一部の弁護士事務所がブランド化しているとの話を聞きます。私の事務所も、出来れば、大分県でブランド力を持ちたいと願っているところですが、その道程はまだかなり遠いようです。

 さて、「みどり牛乳」は大分のブランドと思っていました。小学生の頃など、牛乳はすべて「みどり牛乳」と思っていました。しかし、真のブランドではなかったようです。
「みどり牛乳」の生産元である九州乳業が経営危機に陥ったため、経営陣が刷新されて、大分県から新社長を招聘し、新経営陣で経営再建を目指すことになりました。
新聞報道その他の情報によれば、一連の経営刷新の過程の中で、長年に亘り九州乳業は粉飾決算をしていた疑いがあることが判明し、そのため、新経営陣が旧経営陣を相手取って、その法的責任を追及するとのこと。
 このように、ある企業が経営危機に陥った場合、その経営陣の責任を追及することは確かに必要でしょう。そうでなければ、顧客や株主や債権者に対してシメシが付かないからです。豊和銀行なども、旧経営陣に対する厳しい訴訟が続いているようです。

 これから九州乳業は、旧経営陣の責任追及を巡っての損害賠償訴訟に発展するかもしれません。しかし、仮に粉飾決算をしたのが事実であれば、「みどり牛乳」は到底ブランドとは言えません。真のブランドとは、表面的な美しさよりも、顧客や取引先等の信頼を裏切らないという、その信用力こそが重要であると思われるからです。
 
 九州乳業にとって、これから厳しい道程が続くでしょうが、是非、「みどり牛乳」の灯を消さぬよう再出発してもらいたい。そして、真の意味での大分産のブランドとなって欲しいものです。