第201回  「佐賀関大規模火災」

今年は大分県内で大規模な災害が発生せず、無事に年が過ごせるか、と思っていた矢先に飛び込んできた佐賀関の大規模火災。テレビで映し出される映像は、海沿いの、あの佐賀関の住宅密集地から赤い炎が立ち昇る様子。まさか、あの場所で、こんな大火事が発生するとは誰も予想できなかったのではないでしょうか。
災害のニュースといえば、熊の話題ばかりだったため、この大火事のニュースは大分県民のみならず、日本中にショックを与えました。
約180棟が延焼し、約130世帯が焼け出されるという大規模火災です。
これから、火元の特定や責任の所在などが明らかにされていくでしょう。
しかし、先ずは、被災者に対する支援が重要です。そのためには、次のような関係法令の適用の有無が検討されなければなりません。

  1. (1)災害救助法
    これは、被災直後に必要となる緊急支援を制度的に保障するための法律です。
    これが市町村に通用されると、避難所の設置、食料・飲料水の供与、応急住宅の供与、被服・寝具の給与などの必要な救助が実施されます。
    今回の大規模火災では、既に適用されています。
  2. (2)被災者生活再建支援法
    これは、大規模災害で住宅に甚大な被害を受けた世帯が、生活を立て直すための資金支援を受けられるものです。
    これに該当すれば、最大300万円の支援・補助が受けられますが、要件が種々ありますので、注意が必要です。
    これは、「自然災害」の時だけに適用されるので、失火・放火などの火災(人的原因)の場合には対象外となります。今回の大規模火災、まだ、出火原因は特定されていませんが、当時は風が強く吹いており、それによって延焼範囲が拡大していったので、「自然災害」に準じるものとして、この法律の適用が認められることになりました。
  3. (3)激甚災害法の適用(あるいは準用)
    「激甚災害」とは、非常に大きな「自然災害」が起きたときに、国が特に財政支援を厚くするために行う「国の指定」制度です。
    この「指定」が行われると、①公共土木施設の復旧費の国庫補助が増える、②農地・農業用施設の復旧補助が増える、③中小企業者への特別支援が増える、④中小企業への資金繰りの支援、などの効果があります。
    今回の大規模火災の復旧に対して、地元である大分市・大分県はかなりの費用を要すると思われるので、この法律を適用することにより、その負担を軽くしていただきたい。
    ただ、これについても、「自然災害」というしばりがかかっているので、この要件は緩やかに弾力的に考えるべきでしょう。
  4. (4)災害復旧事業(国庫補助)の早期適用や防災・減災(国土強靱化)事業等を活用して早期の復旧を支援していただきたい。
  5. (5)特別交付税の早急な措置を講じ、大分県や大分市への財政支援のお願いをしたい。
とまれ、このような大規模火災は大分県ではこれまで経験したことがないので、皆の英知を出し合って、切り抜けて行くべきです。 60年前、安岐町の我が家も落雷で燃え、黒く焦げた五右衛門風呂を長いこと使っていた記憶があります。火事はすべてのものを一瞬で燃え尽くしてしまいます。
焼け出された高齢者の方々のために、何でもいいですから、我々ができることをしようではありませんか。大分県では義援金も募っているみたいです。