私は結婚して18年目になりますが、夫と離婚しようと考えています。夫との間に17歳の子供が1人いるのですが、関西の大学に進学することを希望しています。そこで質問なのですが、養育費は、子供が大学を卒業するまで請求することができるのでしょうか?
養育費とは、未成熟子が社会人として自立して生活できるまでに必要な費用をいい、
離婚をするにあたって親権者となった親が子供を引き取って養育することになった場合に、もう一方の親に対して請求することができるものです。
養育費というものは民法という法律で直接定められたものではありませんが、監護費用(民法第766条1項)を法律上の根拠として、実務上認められています。
では、養育費を請求した場合、未成熟子が大学を卒業するまで当然に認められるのでしょうか。
結論からいいますと、当然には認められません。
この点について裁判例があります。
大阪高等裁判所が平成2年8月7日に下した審判では、両親の学歴や経済的・教育的水準等により相当な場合には、大学卒業時までの養育費の支払義務が認められています。この裁判例は大学卒業までの養育費が認められる場合の基準を示しています。
ただ、実際に多くの審判・判決では、養育費は20歳までとされるのが通常です。
では、大学卒業時まで養育費をもらうにはどのようにすれば良いのでしょうか。
裁判所での審判・判決までいけば、20歳までになってしまうことが多いですから、大学卒業時まで養育費を請求しようと考えるのであれば、相手方と協議して決めたり、仮に裁判等を提起している場合でも和解をする方法をとるべきでしょう。 審判・判決というのは、通常、当事者間で話し合いができず、裁判所に判断してもらうものですが、和解や協議であれば、当事者間で合意ができれば柔軟に取り決めることができるのです。
現在、大学まで進学される子どもが多いので、仮に争いになっている場合でも相手方が大学卒業までは払ってやるべき、という考えを持っているのであれば、相手方から合意を得られる可能性も低くはありません。
なお、離婚で一番多い類型は、協議離婚ですが、協議離婚の場合には、養育費を決めるにあたって、きちんと公正証書を作成しておきましょう。
公正証書を作成しておけば、仮に相手方が支払わなくなった場合にも、相手方の給料を差し押さえて回収する等の方法が取れるので、協議離婚で養育費の取り決めをする場合には公正証書を作成することをおすすめします。