現在、私には2人の子供(3歳の長男と1歳の長女)がいます。夫との性格の不一致等が原因で離婚を考えています。夫は離婚すること自体には応じてくれているのですが、親権について争いになっています。裁判などになった場合、親権者はどのような判断基準により決められるのでしょうか。教えて下さい。
親権者の判断基準については、一言でいえば、夫婦のどちらが親権者になることが「子の利益のため」になるのか、子の幸福に適するかにより決められます。
では、子の幸福に適するのかどうかという点は、どのような要素で判断するのでしょうか。
これまで裁判例で判断基準として現れた具体的な事情について説明します。
父母の事情としては、現在、そして、将来にわたっての能力(例えば、年齢、心身の健康状態、経済力、親族等周りからの援助など)、生活環境(学校、居住地域、住宅事情など)、子供を育てたいという意欲、愛情の度合いなどが判断要素となります。
子の事情としては、子の性別や年齢、環境の変化の度合い、兄弟姉妹の関係などがあげられます。
一般論としては、以上のような考慮要素がありますが、他にも重要な要素となりうるものがありますので、具体的を説明します。
1 まず、子の意思を尊重するという点があげられます。15歳以上の子の場合、親権者の指定に関する処分をする際には、その子の陳述を聞かなければならないとされています。15歳以上になると子も自分の意思を持つだけではなく、明確にその意思を伝えることができる年齢といえることから、子の意思も尊重しようということです。但し、15歳未満であれば子の意思を尊重しないというわけではありません。通常、裁判で親権に争いがある場合には家庭裁判所の調査官が調査を実施し、子の意思を確認したりします。
2 つぎに、継続性を重視します。これは離婚が成立するまでの間、実際に子を監護、つまり育ててきた者を優先させるということです。離婚で裁判にまでなった場合、1年、2年かかることもありえます。その間、子供を実際に育てている者に親権を与える方が、子供の生活環境を変える必要はなくなります。これまでの生活環境を大幅に変えるということは子の情緒を不安定にすることに繋がりますし、子が心身共に健全な成長をする上で弊害になります。
これまで述べてきたような判断基準については、すべてが法律で明確に決まっている訳ではありませんし、上記以外にも考慮要素がありますので、仮に親権の帰趨が問題になる場合には専門家に相談してください