第66回 後継指名
- 2014年1月10日
後継指名
猪瀬東京都知事が徳洲会からの5000万円受領問題などを原因として、先日、辞職しました。猪瀬知事が都知事選挙始まって以来の大量得票で当選したのが、石原慎太郎前知事から後継指名されたからであることは言うまでもありません。石原さんは、いかなる動機から猪瀬さんを後継指名したのでしょうか・・・。
権力者がその地位から身を引く場合、後継者をどうするかということが、最も頭を悩ませるところではないでしょうか。知事や市長など、選挙でその地位を獲得する必要がある場合でも、前任者が後継者を指名することがあります。その動機が、「その職に相応しいから。」という善たるものであれば良いのですが、「自分の時代の不正をあばいてほしくない。」という消極的なものであれば困ったものです。韓国など、大統領が交代する度に前大統領は逮捕されています。スネに傷のある者にとって、対立関係にあった人間に自分と同じ地位に就かれることほどおそろしいことはないのです。同じ椅子に座ると、前任者の行っていたことがよく見えるからです。
大分の市長選や知事選でも引退する前職が次の候補者を指名することがありますが、これが純粋な善なる動機のみから為されていればいいのですが・・・。
会社の場合にも、後継指名が問題となります。政治家の場合は、一応、選挙というシステムがあるので、よっぽどの問題児は淘汰されることになります。しかし、会社の場合、社長の鶴の一声で、とんでもない人間が後継者に指名されることがあります。大王製紙のギャンブル狂いの息子などが記憶に新しいところです。
会社の理念は、支配(株主)と経営の分離です。社長(大株主)の息子に経営能力があるとは限りません。しかし、中小企業にとっては、理想どおりに行きません。少々出来が悪くても、息子に何とか後を継いでもらいたいと願うのは一般的な親の気持ちです。しかし、あまりにも出来が良くないと、会社が潰れてしまいます。会社をとるのか子どもをとるのか、むずかしい判断を迫られます。
また、後継候補者が数人いる場合、誰を指名するかも、頭の痛いところです。お人好しの長男を指名せず、能力のある二男を指名したため、会社はうまく存続したものの、一族のきずなは崩壊したという例もあります。
「北朝鮮株式会社」の金正日前社長は、少々、荒っぽい三男正恩を後継者に指名しました。これが、北朝鮮株式会社と金一族にどのような影響をもたらすのか、眼が離せません。