第64回 「 日弁連よ さようなら (その1) 」
- 2013年11月8日
日弁連よ さようなら(その1)
私が大分県弁護士会の会長をしていた平成20年のこと。
各県の会長は、必然的に日弁連の理事を構成することになります。その理事会の席で次のようなやりとりがなされました。
埼玉県の女性会長のEさん。「先般行われた日弁連民暴大会の浜松大会に参加したところ、リオのカーニバルの時のダンサーが招聘されていたが、全身、ほぼ全裸に等しく、極めてみだらな格好をして踊っていた。日弁連は品位というものをどのように考えているのか。会長の見解を聞きたい。」と激しい口調で抗議の意見が出されました(ちなみに、このEさんは女性の権利を推進する弁護士だそうです)。
これを受け、当時の日弁連会長M氏は汗を拭き拭き、「実は、私もあの大会に出席していたが、あのようなサンバの踊り子達が出てくることは全く知らなかった。私もビックリした。担当の日弁連副会長であるT先生説明して下さい。」と言って、担当副会長のTさんに振りました。
いきなり振られたTさん、「実は私もあのようなサンバの踊り子達が出てくるとは思わなかった。事前にチェックしていなかった。具体的な内容については担当県である静岡県弁護士会会長のAさんに説明してもらいます。」と言って、Aさんにマイクを回す。
マイクを渡されたAさん、「実は、私もよく知らなかった。担当の浜松の弁護士のMさんが『全部自分に任せてくれ。』ということだったので、Mさんに任せっきりにしていたら、あのようなサンバの踊り子達が出てきた。今回の件はMさんがやったことだから我々は知らない。」
M弁護士は、以前、暴力団組事務所明け渡しの時に住民側で戦い、暴力団からお尻を刺されたという強者です。しかし、その日弁連の理事会の際、M弁護士は出席していなかったため、サンバの責任はすべてM弁護士一人に押しつけられることになったのです。
このやりとりを聞いて、私は日弁連という組織はまったくダメな組織だなというふうに感じました。上の者が責任を取ろうとせず、現場の者にどんどん責任をなすりつけていくという姿勢はいろんな会社の不祥事の際にみているところですが、正に日弁連も同じ体たらく。どうしてサンバが悪いのか。どうして裸に近い格好で踊り子達が出てきたら悪いのか。ブラジルの女性達にとってはリオのカーニバルというのは一つの文化であり伝統であります。これが「淫らである」とか「猥褻である」などという考え方に対して、日弁連の会長ともあろう人間が、何故、文化論・伝統論から反論をしなかったのか。女性会員の機嫌を取るために責任をたらい回しにしたのか。はたまた、文化や伝統というものに思いを致さなかったのか。それは明らかではありませんが、正々堂々と正面から議論を交わし、現場責任者を守るという気概が全くないのです。
日弁連などが主催して宴席を開く場合にコンパニオンを頼むこともNGとされています。「女性に給仕させることは男女差別である。」ということのようです。日弁連の宴会は、弁護士が自分で料理を運ばなければなりません。しかし、これも、コンパニオンという職業を逆に差別しているのではないでしょうか。
このように、女性弁護士の顔色をうかがいながら会務を行う日弁連など、「さようなら。」です。