第39回 野田新総理に期待する
- 2011年10月7日
野田新総理に期待する
野田佳彦氏が民主党政権下3人目の総理大臣に就任しました。年齢54歳、早稲田大学政治経済学部卒ということは、4年間、私と同じキャンパスで学生時代を過ごしていたということになります。当時の早稲田は1学年1万人、全学部で4万人いると言われていましたので、学部が違えば勿論のこと、同じ学部でも、見たこともなければ会ったこともないという人がほとんどです。したがって、大学生の時の野田氏とは面識がありませんでした。ひょっとしたらキャンバスで何度かすれ違ったことはあったかもしれません。いずれにしても、自分と同じ時期を同じ大学で過ごした人間が総理大臣になり、感無量たる思いがあります。この頃、メキメキとマスコミ等で名前を売っている辛坊治郎(「たかじんのそこまで言って委員会」や「ウェイクアップ」等にでています)は、やはり私と同じ大学の法学部で、しかも同じゼミ仲間でした。大阪府知事選に出るとか出ないとか取りざたされていますが、真相はいかがでしょう。思えば、大分県選出国会議員岩屋毅、吉良州司、足立信也、磯崎陽輔の各氏もすべて私と同じ昭和32年生。そろそろ同世代が政治の場面で主流派になっていっているということでしょうか。
野田新総理がその政治基盤とする民主党は、前の鳩山内閣、菅内閣を見てわかるように、極めてお粗末。したがって、野田総理に過大な期待をしても多分無理でしょう。無理を承知で言わせてもらえば、最低限、次のようなことを期待したい。第1に、日本が今後どのような国になっていくのかという大局的な観点から国家観を示してもらいたい。日本の切迫した財政状況を見たとき、もはや日本が世界の二流国家、下手をするとアジアの二流国家に落ちていく可能性すら否定できません。このような中において、これから20年、30年後、日本が世界の中でどのような国家として生きていくのかという明確な国家観を示してもらいたい。第2に、憲法改正を是非主張してもらいたい。アメリカによって押しつけられた憲法を後生大事に抱いているなどということは極めておかしな話です。自主憲法の制定が理想ですが、今の民主党でそれを望むことは不可能です。しからば、最低限、間尺に合わなくなった部分を改正するのに必要な憲法改正に道筋を付けてもらいたい。特に、憲法9条など実体と解釈が乖離しており、嘘を嘘で塗り固めたような解釈は止めて、日本は自前の軍隊を持つということを憲法上明記すべきです。いつまでもアメリカに守ってもらうような乳母日傘が通用するわけがありません。今のアメリカは、そのような余力すら無くなりつつあるのですから。第3に、北朝鮮の拉致被害者の奪還。民主党政権になってから拉致被害者についての「拉」の字も言わなくなってしまいました。菅前総理は北朝鮮を支援する政治団体に多額の寄付をしていたというのですから開いた口がふさがりません。野田新総理は、まさか菅前総理と同じ穴のムジナということはないと思います。少なくとも松下政経塾で松下幸之介氏の薫陶を受けた御仁であるなら、我が国の国民が他国によって拉致されていることをこのまま見過ごすことが「義」に反するということを認識されていると思います。是非、あらゆる外交ルートを使って拉致被害者の奪還に努めてもらいたい。
野田新総理については、財務省のいいなりであるとの批判がつきまとっており、今回打ち出した復興財源のための増税案などを見ると、所得税、法人税、さらに相続税まで増税するという、まさに富裕層をねらい打ちしたような案を出しており、財務省のいいなりという批判も正鵠を射ているような気がします。しかし、同じ年齢の、しかも同級生として、彼には何とか期待をしてみたい。鳩山元総理のようにパフォーマンスが得意という訳ではなく、菅前総理のようにヒステリー的性格でもなく、愚直で口べたという野田新総理に、オバマ大統領が、「あなたとなら仕事ができそうだ。」と言ったのも頷ける気がします。野田新総理頑張れ!