- 1 今国会で、刑事訴訟法(再審部分)の改正が図られる予定です。
その中でも中心的な論点は、検察・警察が保有している証拠をどこまで開示させるか、という点です。この点についての法制審議会の案は、最終的には担当裁判官の熱意(やる気)にかかっていると言ってもいい内容です。
しかし、裁判官もピンからキリまでいます。熱意のない裁判官にかかったら悲劇です。その典型的な案件がありました。裁判官はミスをしないと思っている方、考え方を改めて下さい。
2026年1月28日、熊本地裁はいわゆる「菊池事件」で、被告人側の再審請求を棄却しました。「菊池事件」とは、被告人がハンセン病患者であったが故に、隔離先の「特別法廷」(「公開の法廷」ではない)で裁判にかけられて死刑判決を受け、既に死刑が執行されたものです。熊本地裁は、①ハンセン病患者であることを理由に「公開の法廷」ではない「特別の法廷」での裁判は憲法第14条(「法の下の平等」)に反する、②「公開の法廷で裁判を受ける権利」を保障した憲法第82条1項に違反する疑いがある、しかし、③これら(即ち、憲法違反の裁判のこと)は再審の理由として法律に挙げられていない、④事実認定に重大な誤認がない、との理由で棄却しました。
この決定そのものについては担当裁判官の考えなので、不服があれば高裁に異議申立するしかないのですが、問題は、この裁判官の再審申立事件に向き合う姿勢です。
この裁判官、判決理由の中で、「憲法第37条3項」と書くべきところを「憲法第39条3項」と書き、「憲法第99条」と書くべきところを「憲法第91条」と書いたのです。ちなみに、憲法第37条3項は弁護人依頼権を規定したものですが、憲法第39条には3項など存在していません。また、憲法第99条は裁判官等の憲法尊重擁護義務の規定ですが、憲法第91条は内閣による財政状況の報告についての規定であり、本件とはまったく関係ありません。
誤記したのかも知れませんが、書き上げた判決文を読み直しておらず、チェックもしていないのでしょう。再審は「人権救済の最後の砦」であるにも関わらず、読み直しもしない様な判決文で被告人側の望みを断つ。この事件の持つ意味やその重さをまったく理解せず、「めんどくせ~!」と思いながら判決を書いたものと思われます。皆んなが皆んなこのような裁判官ではないと信じたいのですが・・・。
そう言えば、昔、福岡地裁小倉支部からもらった民事事件の判決。原告代理人の私のところには「被告は原告に対し、金700万円を支払え。」との内容。対して、被告の方には「被告は原告に対し、金900万円を支払え。」との内容。
こんな裁判官たち、信用できません。 - 2 裁判官も信用できなければ、警察も信用できません。
速度超過や車間距離不保持の交通違反の取締りを担当した神奈川県の警察官が虚偽公文書作成・同行使で送検されたとのこと。要は、交通反則切符などに虚偽の記載をしたようです。なんと、その件数、2700件。
交通違反による違反点数の付加や反則金の徴収は明らかに刑罰。これらの刑罰を確たる証拠もなく2700件も実施していたのであるから、大冤罪事件です。
その動機が、「多少強引でも違反者を排除するのが仕事だと思った。」とか「現場に行くのが面倒だった。」などというのですから、袴田事件、福井女子中学生殺人事件、大川原化工機事件などと構図はまったく一緒です。小さな事件で手抜き捜査する者は、大きな事件でも手抜き捜査をします。そして、これが冤罪被害者を生み出すのです。 - 3 裁判所にしても警察にしても、自分の背負っている職業の重さをもう一度考えて欲しいものです。
