7月13日、ペンシルベニア州バトラーで演説中のトランプ前大統領が銃撃されました。容疑者は演説会場から120~150mほど離れた建物の屋根から撃ったとのことです。この銃弾はトランプ氏の右耳をかすめたものの致命傷には至りませんでした。しかし、集会に来ていた1人が死亡し、2人が負傷しました。銃撃した容疑者は銃撃後にシークレットサービスによって射殺されました。
この時、2つのことを思いました。
1つ目は2年前の安倍晋三元総理の射殺事件です。私の参議院選挙の途中の出来事でした。
投票日の2日前の7月8日、私の応援のため小泉信次郎衆議院議員に来てもらうことにしていました。同氏が大分駅前「祝祭の広場」へ到着するのを待っていた時、「安倍さんが撃たれた。」「亡くなったようだ。」という情報が飛び込んできました。急遽、その日の選挙活動を止め、喪に服することにしました。大分空港に降り立った時に初めてその訃報を知った小泉信次郎氏も喪に服することを了解してくれ、応援演説をせずに東京へ戻って行きました。
この時、SP(セキュリティポリス)と呼ばれる護衛部隊のお粗末さには驚きました。1発目が発砲され、はずれた後、「何が起きたのだろう。」という顔をして何もしないままにいる間に、もう1発が安倍さんを射抜いたのです。これでSPが務まるのでしょうか。
1昨年の臨時国会での予算委員会の際、要人に対する警護体制の問題点について質問しようと思い、警察庁の官僚達を呼んでレクを受けましたが、納得いく説明はなされませんでした。しかし、自分たちの落ち度であることは明らかなので、なるべく予算委員会では質問して欲しくない、という態度がありありでした。この「質問して欲しくないオーラ」に押されて、別の質問に変えてしまいました。今思えば、情けない話です。
今回のトランプ氏銃撃事件においても、容疑者が銃を持って近くの倉庫の屋根に登り、狙いを定めてトランプ氏を撃つまでSPは何もしなかったのですから、やはりお粗末です。SPというのは、日本でもアメリカでもお粗末なようです。
2つ目は、銃撃され、右耳から血を流しながらも右手をグーにして高々と上げているトランプ氏の写真です。しかも、この後ろには星条旗が大きく写っていました。何と言っても、この写真です。
トランプ氏の人間性はどうかと思いますが、この写真にはそれを吹き飛ばすだけの迫力があります。しかも、星条旗がバックにあり、傷付いても力強く戦う「世界の覇者アメリカ」を感じさせました。そして、このトランプ氏の写真を、ドラクロアが描いた「民衆を導く自由の女神」(フランス革命)の絵画に重ねて見た人は私のみではないと思います。これによってトランプ氏は次期大統領選、「勝利間違いない。」と言われています。
1枚の写真。
これを写したカメラマンの腕もさることながら、もしかしたら射殺されていたかも知れないのに、そして2発目の銃弾が飛んで来るかもしれないのに、右手を空に突き上げることの出来たトランプ氏。何という度胸のある男でしょうか。
それにしても、この1枚の写真で世界のトップリーダーが決まったとしたら、幾百万の勇ましい言葉よりも遥に威力があったと言わなければなりません。
トランプ氏の生命を狙った銃弾がトランプ氏に大統領としての生命を与えることになったとすれば、皮肉なこととしか言いようがありません。