正月元旦の能登半島地震、2日の羽田空港の飛行機事故、自民党のキックバック金(裏金)問題etc。今年も大変な1年になりそうです。
さて、私、毎朝4時30分に起きて、5時から歩くことを日課にしています。大分にいる時は、45分間かけて、高尾台の自宅から中島の弁護士ビルまで歩いて来ています。東京にいる時は、5時に議員宿舎を出発し、約30分間、麹町を散歩しています(時々、パトカーから尾けられたりしますが・・・)。夏も冬も変わりません。議員宿舎の管理人の人達からは「午前5時の男」と呼ばれています。
そのため、何もない時は、前夜10時ころまでに床に入ります。
しかし、前日、深酒をした場合の早朝など、「1日ぐらいさぼってもいいよ。」「朝は寒いよ。」「あと1時間ぐらい寝た方が健康のためにもいいよ。」などという声が頭の奥の方からしてきます。いわゆる「悪魔のささやき」です。それを振り切って、いつも通りに起きて早朝の5時に出発するのは極めて強い精神力が必要です。ましてや、そのささやきが「おいしいお土産」をくれる場合は尚更です。
自民党で、派閥パーティーの際、パーティー券販売ノルマを越えた分のキックバックが大問題となっており、安倍派、二階派、岸田派、森山派では派閥を解散することになりました。他の派閥(麻生派と茂木派)は解散する旨の意見表明はしていませんが(1月25日現在)、自民党自体が「派閥から金とポストの機能を切り離し、派閥を解消する」方針なので、早晩なくなる可能性があります。あるいは、「勉強会」と、本来の姿に形を変えて存続するかも知れません。いずれにせよ、自民党に大激震が走っています。
ところで、政治資金規正法には、「政治団体の会計責任者は・・・会計帳簿を備え、次の事項を記載しなければならない(同法第9条)。
・すべての収入(1号)
・すべての支出(2号)」
「これに反した場合、3年以下の禁錮又は50万円以下の罰金に処す(同法第24条)。」と規定されています。
派閥からお金をもらうこと自体は政治資金規正法違反にはなりませんが、それを会計帳簿に記載しないことが犯罪となるのです。しかも、「会計責任者」という身分を持った者しか、この犯罪を犯すことはできず、原則、国会議員は(会計責任者ではないので)この犯罪の主体とはならないのです。但し、会計責任者との「共謀」が認められれば、議員も罪に問われることがあります(いわゆる「共謀共同正犯」といわれるもので、俗にいう共犯です)。ただ、この「共謀」の立証はなかなか大変です。
誰がこの裏金システムを考えたのかは知りませんが、「政治資金規正法違反なんて、大した罪じゃないよ。」「会計責任者しか罪に問われない犯罪だから、会計責任者にならなければいいんだよ。」「帳簿に載らない方がお金を自由に使いやすいしね。」「パーティー券をノルマ分さえ売れば、あとは自分のお金なんだから、載せる必要ないよ。」「みんな、昔からやっているよ。」という「悪魔のささやき」があったのではないでしょうか。
この「悪魔のささやき」に抵抗できなかったがために、今まで連綿と続いてきた派閥というシステムが飛び去ろうとしているのです。
そして、この派閥・裏金問題が、本来早急に救援対策をされなければならない能登半島地震の被害者の方々への救援の議論を遅らせているのであれば、それは「ささやき」を超えて、「実害」以外の何者でもないでしょう。
「悪魔のささやき」。
その心地よさの果てにあるものを我々は肝に銘ずるべきでしょう。