6月末から九州各地や秋田県などを豪雨が襲いました。これによって、お亡くなりになられた方及びそのご遺族の方々に、心よりお悔やみを申し上げますとともに、被災された方々に対しお見舞いを申し上げます。
今回の九州各地の豪雨災害を受け、私も日田市、中津市、由布市の3つの市の被害状況を視察して参りました。
聞くと見るとでは大違いです。
川の濁流で壊された橋、橋の欄干に溜まった木々、削り取られた護岸、土石流で押し流された家などなど。想像を絶するものでした。これらの地域は、平成24年、平成29年、令和2年、令和4年と、立て続けに大きな被害を受けてきました。そしてまた今回です。前回の大災害が発生して、その復旧も終わらないうちに、もう次の災害が起きているのです。
また、ここ10年で「線状降水帯」という新しい気象現象が登場しました。今までにない大雨で、ピンポイントで、しかも繰り返し繰り返し降る。そのため、被害も甚大化しています。今回の台風7号による鳥取や京都などの被害もそうです。
ところで、国が被災者に対して直接に支援することが求められている法律としては「被災者生活再建支援法」という法律があります。しかし、この法律が適用となるためには、当該市町村における「倒壊」建物が一定数以上でなければなりません。
一定数に達したときにはじめて当該市町村が支援対象となり、その市町村内での倒壊家屋の住人に対して、その「倒壊の程度」に応じて、一定の金額が支給されるという建て付けです。
今のままでは、線状降水帯で発生するような局所的な被害や家屋が倒壊しない場合は国の支援の対象外となってしまうおそれがあります。
今回、中津市は被災者生活再建支援法に定める適用条件に該当しないため、中津市の方は同法による国からの支援は受けられませんでした。また、何とか適用された日田市においても、国は中規模半壊までしか支援の対象としていないため、床上浸水等の被害があった方は、支援が受けられない状況にあります。
更に、今回被害が発生した地域は、いずれも過疎化が進んでおり、被害が毎年のように発生すると、再建したくても、体力的にも精神的にも疲れ切っており、再建をあきらめてしまい、その結果過疎化が一層進んでしまうという悪循環に陥ることになります。線状降水帯による新しい豪雨災害が頻発している昨今、それに合わせ、特に過疎地域においては、局所的な被害も救済できるように適用条件を緩和し、支援内容を拡充する必要があると思います。
ところで、我々が現地視察している際、35度を超える猛暑の中で、土砂の撤去、土のうの設置、避難誘導、浸水家屋の清掃、どろ出し作業など、消防団員やボランティアの方々が献身的な活動をされている姿には一筋の光明を見る思いがしました。
しかし、昭和29年には全国で200万人以上いた消防団員は、平成2年には100万人を割り込み、昨今では4年連続1万人以上減少しています。特に30代以下の若年消防団員は、昭和40年には全体の90%を占めていましたが、令和4年には全体の40%を切ってしまいました。
災害が頻発し、それを救援する人・モノ・カネが不足すると、この日本がますます住みづらい国になってしまいます。
消防団員に対する処遇改善やボランティアの方々に対する必要物資の支給など、彼らの善意に応える施策を政治の力で実現していかなければならないでしょう。
人の善意だけに頼る時代は既に過ぎ去っているのかもしれません。