第164回  主権者?

民法

(制定・施行)明治31年
(改正)(昭和62年まで省略)
平成1年、平成2年、平成3年、平成8年、平成11年、平成12年、平成13年、平成15年、平成17年、平成18年、平成23年、平成25年、平成28年、平成29年、平成30年

刑法

(制定・施行)明治41年 (改正)(昭和62年まで省略) 平成3年、平成7年、平成13年、平成15年、平成16年、平成17年、平成18年、平成19年、平成22年、平成23年、平成25年、平成28年、平成29年、平成30年

商法

(制定・施行)明治32年 (改正)(平成13年まで省略) 平成14年、平成15年、平成16年、平成17年、平成18年、平成20年、平成23年、平成26年、平成29年、平成30年

上記は、日本の3大法である民法、刑法、商法の制定・施行と改正の状況について記載したものです。
いずれも制定後、何度も改正されています。時代の進化とともに社会情勢も変化するので、当然と言えば当然のことです。それが法律の宿命です。
これに対し、昭和22年5月3日に施行されてから今日までの76年間に亘り、ただの一度も改正されていないのが日本国憲法(現憲法)です。憲法も法律ですので、そこに記載されている条文と実体とが食い違った時には両者を合わせる必要があります。
その意味から憲法9条2項に「陸海空軍その他の戦力はこれを保持しない」と規定しながら自衛隊を保持しているのは矛盾なので、自衛隊が必要であると考えるのであれば、早急に憲法を改正する必要があります。
さらに、日本国憲法には問題があります。憲法を改正するには、衆議院と参議院の両方の各議院でその総議員の3分の2以上の賛成で国会がこれを発議し、国民の承認を得なければなりません(憲法96条)。
これも問題です。通常ある一定の物事を決する場合、その過半数の賛成にて決められるのが一般的です。終戦後、新憲法ができた経緯に照らすとき、ある程度、改正要件を厳格化することは理解できます。
しかし、日本国憲法は、①発議、②3分の2以上、③国民の承認、という3つの過重要件を課しており、この3つをクリアすることは事実上不可能に近いと言わざるを得ません。
そうすると、自衛隊はいつまでも憲法違反の存在ということになり、憲法上、存在してはいけないものが現実の必要性にせまられて存在しているということになります。しかし、これでは、日本を守るために命を張っている自衛隊の方々に大変申し訳ない。何とか自衛隊を憲法上も合法な存在にしなければならないのです。
そのためにも、先ず、憲法改正の発議の要件を軽くして、どんどん国会に発議してもらい、国民自身に判断してもらったらいかがでしょうか。発議要件を厳しくしているのは、結局、国民は判断能力が低いので、なるべく国民自身に判断させない方がいいとする国民蔑視の考え方とつながっているのではないでしょうか。
今まで、一度も憲法改正について国民自身が判断したことがありません。日本は国民主権であるなどと言いながら、一度も判断したことがない。あまりに不幸なことではありませんか。国民自身、自分達が主権者であることを忘れているのではないでしょうか。あるいは、そもそも自分たちが主権者であると思い至ったことすらないのではないでしょうか。
今回の7月の参議院議員選挙、自分達が主権者であることを認識し、主権者としての権利を行使するための第一歩にしようではありませんか。