第15回 約束
-2009年10月9日
約束
民主党政権になってからいろいろ目新しい政策が打ち出され、連日のごとくマスコミを賑わしています。
その中でも、毎日朝から晩までテレビに出て、血気盛んに吠えているのが亀井静香金融担当相。亀井さん、個性豊かで憎めない人ですが、今回のモラトリアム法案については、首を傾げざるを得ません。「借りたものは返す。約束は守る。」というのは、人間の守るべき道徳の基本。しかし、今回のモラトリアム法案は、借りたものも、金利だけ返し、元金については三年間程度返さなくてよいという内容とのこと。(もっとも内容の詳細は、まだ煮詰まっていないようですが。)
亀井さん、「借り手がいるから貸し手がいる。借り手が潰れたら貸し手も存在しない。銀行には税金の多額の注入をして助けてきたのに、借りた中小企業が苦しい場合に、それを保護しないのは片手落ちである。」などと述べています。確かに、そういう見方もありますが、それによって、銀行の経営が圧迫することも考えられますし、そうなれば銀行に預金している預金者が保護されません。銀行の経営が危うくなれば、我々の税金が投入されることにもなりかねません。銀行の貸し渋りが激化するかもしれません。
このように色々問題は山積していますが、「借りたものは返す。」、「約束は守る。」という根本的な道徳、倫理を蔑ろにするところが一番問題ではないでしょうか。経済の専門家ではないので、難しいことは分かりません。しかし、仮に、これを実行し、万が一、金融パニックが生じた時には、民主党政権が転覆する可能性は大きいと思います。
前原誠司国土交通相も、ダム問題や日本航空問題でも連日活躍をされております。八ツ場ダムについては、建設中止という方針を出しています。私はダムの専門家ではないので、これを中止するのが良いのか、続行するのが良いのか分かりません。ただ、あるテレビの中で、当初反対していたけれども、苦渋の決断の末移転を決めた住民の誰かが言っていました。即ち、「日本国という国が約束したのに、自民党から民主党へ変わったからと言って、それを反古にしていいのか。」と。確かに、政権が変わったとしても、日本という国が約束したわけですから、その約束を守らなくて良いのでしょうか。これは法理論的にはかなり難しい問題であろうと思います。
「約束は死んでも守れ。口に出した以上は必ず実行せよ。」ということを肝に銘じてきた人間からすると、今回の亀井金融相のモラトリアム法案、或いは、前原国土交通相の八ツ場ダム中止は如何なものかと思わざるを得ないのです。