第14回 政権交代

第14回 政権交代                                                     
                                                       -2009年9月11日
政権交代
 衆議院選挙は、大方の予想通り民主党が圧勝し、自民党が政権の座から転落するという劇的なものでした。前回の小泉郵政民営化選挙の際には、自民党が圧勝しましたが、今回は政権選択をスローガンに投票が行われ、民主党が圧倒的多数を獲得しました。二大政党制というものの本当の意味での醍醐味を味わうことのできた選挙だったと思います。これまで自民党ペッタリだった官僚組織は、今後は、自己保身のために民主党ペッタリになるのでしょうか。
 民主党が政権をとって、この日本がどのように運営されていくのかまだよくわかりません。ただ、今回の選挙は、マスコミ等で言い尽くされておりますが、これまでの自民党の政治に対して国民が辟易し、とにかく自民党にお灸を据えたいという意識の表れだと思えます。
 政治家の政策によって国の在り方が大いに変貌させられることは、他国の例を見るまでもなく明らかです。日本は、60年前に太平洋戦争で敗北し、アメリカの言いなりになってきました。真の意味で独立国家たらんとする気概を民主党が持っているかどうか甚だ怪しいところがあります。しかし、「自民党はもう嫌だ。」という国民の声を自民党が理解できずに、「まだ大丈夫であろう。」と高を括っていた結果がこのような結末になったのであろうと思います。
 それにしても、2年前の郵政民営化選挙で大量に発生した「小泉チルドレン」と言われる政治家の人達は、ほとんど吹き飛び、今度は逆に「小沢チルドレン」と言われる新人議員達が誕生したのは皮肉なものです。民主党が、まともな政権運営ができなければ、4年後にはまた同じような大波乱が起きるかと思うと、二大政党制もなかなか興味深いものです。
 以前、中曽根大勲位が、「政治を行うには、まず戦略を立てろ。」ということを何かに書いていましたが、まさにその通りだろうと思います。今回、選挙という戦いにおいては、戦略を立てた民主党が大勝したしたものだと思います。(もちろん風もありましょうが。)今後、国家を運営するにあたっても是非戦略を立ててもらいたい。そして、その中で日米関係をどうするのか、日中関係をどうするのかという対国家間の外交についても、きちんと戦略を立てて政権運営をしてもらいたいと思います。特に、北朝鮮から拉致被害者を取り返すことは喫緊の課題です。
 「権力は腐敗する。」これは昔から言われてきたことで、正に真実だろうと思います。自民党も長期政権であったがゆえに、「官僚支配」という悪しき弊害を作り上げてしまうことになったのでしょう。

 翻って、会社経営を考えた時にも、経営者が一人で権力を長期に亘り握り続けた時には、必ず腐敗すると考えて良いと思います。どこかで、他人の意見を取り入れるシステムを作り上げなければ、30年以上企業を存続させることは難しいのではないのでしょうか。役員の任期がきちんと定められている訳ですから、任期ごとに役員の資質や能力を的確に判断し、能力がないと考えれば、自らをも潔く身を引く覚悟で経営をすることが必要だろうと思います。経営の中に、新しい感覚、若い力を取り入れ、新しい指導者が育つ素地を作ることも経営者のとるべき道だと思うのです。