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第128回   物言う裁判官

                                                       - 2019年6月28日
物言う裁判官
 1 年上に説教?
 俳優のピエール瀧被告の麻薬取締法違反被告事件で東京地裁の小野裕信裁判官は懲役1年6月、執行猶予(注①)3年の判決を言い渡しました。まあ、通り相場の判決です。ただ、その判決言い渡しの後に、小野裁判官は瀧被告に対して、「人生をどうしたいのか。」「人生の持つ意味は何なのか。」などと、10分近く禅問答のような異例のやり取りを行ったみたいです(これを「説諭」(注②)と言います)。
 時々、刑事事件の裁判官の中に、このような説諭を好んで行う人がいますが、正直、違和感を覚えることの方が多いです。真実、被告人の社会復帰を願い、被告人を立ち直らせる目的で発せられた言葉なら良いのですが、「刑事裁判官だから説諭する権限がある。」とか、「刑事裁判官として感銘を与えたい。」などと思っていたら、それは大きな間違いです。
 日本の裁判官は職業裁判官であり、司法試験に合格すれば社会経験がなくても(一定の成績さえあれば)、そのまま裁判官になれます。人格、識見はあまり重視されていません。その点、イギリスの様に、弁護士経験10年以上の者の中から、弁護士会が推薦した、人格、識見の優れた者しか裁判官になることができない「法曹一元」とは根本的に異なるのです。
 以前、大分地裁にいたある刑事裁判官。当時、彼は30代であったと思いますが、ある刑事事件で自分の父親と同じくらいの70代の被告人に対して、「君は今回の事件を反省しているのか。」「君は、今後、どうやって生活していくのか。」などと、「君は」という言葉を連発していました。その発言を聞いて強い違和感を覚えたのは弁護人であった私だけではないと思います(法廷の廷吏の人、刑務所からの護送の職員の人も同じように感じたと思います)。司法試験に合格して裁判官になったからといって、自分の父親のような人間に対して、「君は・・・」はないのではないでしょうか?
 今回、ピエール瀧(52歳)に説諭した小野裁判官、私よりも20年くらい後輩のようですから、おそらく40歳になるかならないかぐらいの年齢だと思います。それぐらいの年齢の人が、10歳以上年上で社会経験も豊富な被告人に対して「人生とは・・・」などという説諭をすることに強い違和感を覚えました。小野裁判官がどのような経歴や人生観を持っているのか知らないので無責任なことを言うつもりはありません。真実、瀧被告のことを考えて前記のような発言をしてくれたのであれば素晴らしいことなのですが・・・。

 2 裁判官は弁明する?
 2014年(平成26年)5月に関西電力大飯原原発3、4号機(福井県)の再稼働を認めない判決を出した元福井地裁裁判長の樋口英明氏が大分市内で講演会を開き、判決書作成に際しての考え方を開陳するとともに、「原発は被害の大きさ、事故発生確率、どちらの面で見ても危険」であると述べ、周囲に危険性を伝えるよう訴えたそうです。
 彼がどのような考えを持ち、どのような判決を書こうと自由です。しかし、裁判官の考えは判決書の中で十分に述べられているはずですし、それ以上でもそれ以下でもないはずです。それを変更できるのは、唯一、上級裁判所のみです。それを法廷の外で、「あの判決はどうのこうの・・・」と、その舞台裏を表に出すのはいかがなものでしょうか?裁判官を退職したからといって、喋るべきではないと思いますが・・・。
 「裁判官は弁明せず。」という格言はもはや死語なのでしょうか?

   注①「執行猶予」・・・有罪の判決をしても、一定の期間は刑の執行を猶予し、その間に再び犯罪を
                行わなければ刑の言渡しの効力を失わせ、刑務所に行かなくてもよくなる制度。
    注②「説諭」・・・・・悪い行いを改めるように良く言い聞かせること。






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