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第81回  大分県教員採用取消処分

                                                          - 2015年4月3日

大分県教員採用取消処分

 大分地裁は、大分県の中学校臨時講師男性(37歳)が2008年度採用試験において、加点によって合格したものの、男性やその親族らが加点を依頼した事実は認められず、情実採用とはいえないとし、大分県教育委員会による採用取消処分を取消す判決を出しました。これに対し、大分県教育委員会は、「採用決定にあたっては、採用試験の成績に基づかなければならない。男性の試験の点数に大きな加点があり、本来であれば、一次試験にも合格していなかった事実が認められた。採用は適法だったとの判決は受け入れ難い。」として福岡高裁に控訴しました。
 大分県教職員汚職事件はあまりにも大きな事件ですが、聞くところによると過去何十年間にもわたって大分県の教育界にこのような不正がまかり通っていたとのことです。この男性教員やその親族が本当に加点の依頼などした事実がなければ、いったん採用されながら、その後、取消されるという処分を受けることは過酷といわなければなりません。しかしながら、この大分地裁の判決はおそらく福岡高裁で覆されるでしょう。
 まず求められるのは客観的に男性教員が採用試験の合格ラインに達していたかどうかという点です。教育長の説明によれば、本来であれば一次試験にも合格していないような低い点数しか取得できなかったということですから、それが事実であるとすれば、本来、採用されることはなかったはずです。大分地裁判決には、教員としての免許を持っているからそれで充分であるというような言い回しがありますが、教員の免許を持っているということと大分県の教員採用試験に合格するかどうかというのはまったく別問題です。教員免許を持っていることは採用試験を受けるための前提条件です。
 さらに、問題なのが、男性自身や親族が加点の依頼をしたことを裏付ける証拠がなかったということを判断の一つの決め手にしている点です。これは明らかにおかしい。いわゆる「口利き」などというものは本人や親族ではなく、例えば間に何人か人間を入れて依頼するケースも多々ありますし、あるいは担当の先生が自分の教え子のために口を利くということもないわけではありません。受験生自身は知らないのが通常です。したがって、口利きの証拠があるかないかは本来関係ない話です。あくまでも客観的に合格ラインに達していたかどうかが重要な決め手になるわけです。もっとも、あまりにも多くの受験生に対して加点・減点をしたために、客観的にどのあたりが合格ラインかわからないような支離滅裂な状況であった可能性も否定できません。当時の教職員採用試験がかなりでたらめになっていたということは私も認識しています。そのあたりについては、教育委員会の方が客観的な合格ラインを証明しなければならないことでしょうが、仮にこれが証明されるとすれば、合格ラインに達していない以上、採用を取消することは当然といえば当然の処置だろうと思います。その意味で、大分地裁の判決は情実的と評価されても仕方ありません。
  ただ、問題はいろいろあります。2008年度採用試験だけに限り、2007年度や2006年度にまで遡らなかったという点も片手落ちといえば片手落ちといえます。遡ったらきりがないから2008年度だけにしたのでしょう。 このように教員汚職事件はさまざまな問題を引き起こし、人々の人生を翻弄してきました。おそらく合格した受験生は真実合格したと思い、落ちた受験生は自分の能力が足りなかったので落ちたと信じているのではないかと思われます。
 客観的かつ公正であるべき採用試験に不正が介入することがいかに重篤な事態をもたらすのか、我々は教職員汚職事件から学んだはずです。したがって、この問題は決して笑って済まされることではなく、永久に大分県の恥部として語り続けなければならないでしょう。




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