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第2回 苦渋の選択

                                                        -2007年11月30日

間際の相談
 今から15年以上もまえであろうか。ある医療品販売会社の社長が相談に来た。「明日、不渡手形を出すが、どうすればいいか。」という相談であった。会社再建の可能性もなく、有力スポンサーもおらず、納入業者や金融業者からの取り立てはかなり激しくなっているとのことであった。そこで、私は会社と代表者個人の自己破産の申立を勧めた。

 一般的に、会社の代表者は、金融機関等の借入につき連帯保証しているのが通例である。なおかつ、納入業者などとの間では、継続的取引契約を締結し、包括的に保証していることもよくある。したがって、会社が行き詰まるということは、必然的に、代表者も行き詰まるということになる。
 また、中小企業の場合、個人の財産を会社の担保に提供していたり、或いは、会社の業務用資産として用いてる場合がほとんであるため、会社だけ破産し、個人は破産しないということは、後々代表者個人に対する法的追求を招くことになり、返済不能者の自立更生を目指した破産の趣旨を没頭してしまうことになりかねない。

 ただ、会社と個人が破産するということになれば、当然、破産申立の際に必要な弁護士費用、及び裁判所へ納める予納金などの調達が不可欠である。その事件の場合、弁護士費用及び予納金を含めて、最低でも300万円程度は必要であったと記憶している。
 ところが、同社長曰く「いくら掻き集めても、100万円くらいしか調達できない。」とのことであった。
 大きな声では言えないが、自己破産する場合でも、今後の生活資金などは、当然必要なわけで、収入がまったくなくなる状態になるので、一般的に、いくらかの隠し金は持っている例が多いようである。ところが、この社長の場合、すべて投げ出しても100万円くらいしか調達できないとのことであった。
 そこで、破産の申立は不可能であり、どうするかという話になった。先立つものが用意できない以上、破産の申立はできない。社長から「先生ならどうしますか。」と聞かれた。しばらく考えたものの、私は「今後の生活もあるし、当座の生活として100万円程度は必要だから、自分なら100万円を持って逃げるかもしれない。」といった。その社長「明日まで考えさせて下さい。」と言って、事務所を後にした。


 − ジレンマ −
 翌日、予想通り不渡手形を出した。それから何日かして、社長より私の方に電話があり「この前、先生から言われたように、100万円持って逃げることにしました。」と言って電話を切った。私は「100万円持って逃げろ。」と言ったわけではないが「私なら、100万円しかなければ、それを持って逃げるかもしれない。」と言ったに過ぎない。
その社長も、よっぽど思い詰めたのであろう。100万円を持って逃げたようである。
 その後、15年間以上経つが、まったく連絡はない。

 このように、会社を法的に清算するか、私的に清算するかという技術論以前に「お金がない場合はどうするか。」という話を、まずしなければならない。弁護士である以上「100万円持って逃げろ。」などというアドバイスは口が裂けても言えないが、いざ自分がそのような状況になった場合には、自分の今後の生活を犠牲にしてまで、有り金全部とはたくということは難しいのではないだろうか。
 倒産間際の会社経営者と話をする際、常にこのような問題に直面している。



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