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第13回 令状主義
                                                        
                                                       -2009年8月7日
令状主義
 刑事手続きにおいては、捜査機関が、逮捕、勾留、捜査差押等の強制力を伴う捜査を行う場合、予め裁判官による審査を受けたうえで、裁判官の発する令状によらなければなりません。これを「令状主義」と言い、刑事訴訟手続上の大原則です。
 この令状主義は現実においてはほとんど形骸化しています。裁判所は、警察官や検察官からの逮捕状、勾留状、捜査差押令状などの申請をほぼ100パーセントの確率で認めるのが現状。

 何故かというと、第一に、裁判官の人権感覚の欠如が挙げられます。人の身体を拘束し自由を束縛することが如何にその人に対して苦痛や不利益を与えるかということに思いが至らないのでしょう。一度、裁判官も逮捕、勾留され、或いは、刑務所に収監されてみては如何かと思うのですが・・・。

 第二に、令状を発布する担当の裁判官が任官1年目から5年目という未経験の裁判官であることが多いのです。司法試験に合格し、社会経験もなく裁判官になった、若いお坊ちゃま、お嬢ちゃまが、百戦錬磨の警察官や検察官から提出された請求を却下するなどということは不可能に近いのです。万が一、請求を却下すれば、警察署や検察庁という組織を敵に回すことになるので、勇気をもって令状請求却下をすることはできないのです。

 先日、大分高速道路において、夏の高校野球県大会開会式の日に大分屈指の強豪、柳ヶ浦高校野球部を乗せたバスがスピードの出し過ぎのため転倒し、部員の一人が死亡するという痛ましい事故が発生しました。記憶に新しいところと思います。この時、運転していた野球部副部長の教諭が逮捕されました。逮捕の記事を見た時に、「どうして、この事故で逮捕する必要があるのか。」と、かなり違和感を覚えました。逮捕するにあたっては、逃亡の恐れ、証拠隠滅の恐れが必要なのですが、この事故の場合、この教諭にそのような恐れは皆無と言って良かったと思います。この逮捕が現行犯逮捕なのか、逮捕状に基づく逮捕なのかはっきり分かりませんが、いずれにしても、人の身柄を拘束するということに対して、警察側がかなり抵抗感無く行っていることが伺い知れました。逮捕されると2日後には勾留請求され、原則10日、最大20日間勾留されることになります。本件の場合も、私の経験からすれば、令状請求された裁判官は間違いなくメクラ判を押して、この教諭を勾留するだろうと考えておりました。

 ところが、捜査当局が勾留請求したにも関わらず、令状担当裁判官はこの勾留請求を却下したということが新聞記事に出ておりました。本来、我々弁護士からすれば、逮捕そのものがおかしいし、勾留などあってはならないと考えておりますが、裁判官が勾留請求を却下するということは、大分でもそれほど例がありません。この新聞記事を見た時、まだ大分の裁判所にも気骨のある裁判官がいるという思いを抱いたものでした。

 「人質司法」ということがよく言われております。身柄を取って無理矢理自白を強要するということを指しています。捜査機関が身柄を取りたがることは当然として、これをチェックすべき裁判所がチェックできていないという現実に照らした時、この柳ヶ浦高校の教諭の令状請求却下のニュースを一筋の明るい光と感じたのは、私一人ではなかったと思います。


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