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第111回   日馬富士暴行事件

                                                         - 2017年12月1日

日馬富士暴行事件

 横綱日馬富士が貴ノ岩をビール瓶で殴ったとか、いやリモコンでしか殴っていないとか、30発殴打したとかしないとか、今、大きな事件になっています。加えて、貴乃花親方と相撲協会との確執も見え隠れしており、連日マスコミが賑わっています。しかし、やはり暴行事件は関係当事者全員に後味の悪さを残すもの。
 実は私も大きな暴行傷害事件に関わったことがあります。

 私が司法試験に合格した年のことです。当時の司法試験は、3万人が受験し、最初の択一試験(一次試験)で3000人が合格、次の論文試験(二次試験)で500人が合格、最後の口述試験(三次試験)で450人が合格するというもので、日本で一番難しい試験(競争率60倍)と言われていました。
 昭和57年、私が24歳の時でした。私は択一試験に合格し、論文試験も終了し、「おそらく今年は論文試験も突破しただろう。」という手応えを感じていました。論文試験の合格発表の1週間ぐらい前、私の母校早稲田大学法学部の3階の読書室で受験勉強をしていた10人ほどの先輩達(平均年齢33、4歳)と一緒に食事をしました。その中のボス的存在のKさん(当時37歳ぐらい)も今年は何とか合格したであろうという手応えがあったらしく、浴びるように酒を飲んでいました。そこで止めれば良かったのですが、酔った勢いで、3階読書室の主(ぬし)のIさんが警備員をしているW小学校を表敬訪問しようということになりました。当時、Iさんは40歳を超えており、司法試験受験歴は20年を超えていましたが、その年は択一試験すら合格しておらず、司法試験から足を洗うかどうか悩んでいた頃だったと思います。我々10人ぐらいでW小学校に押しかけてIさんを交えて様々なことを話していました。最初は和気藹々とした雰囲気でしたが、そのうち酒の入ったKさんがIさんに対して、あろうことか「Iさん、あんた、まだ司法試験に受かると思ってるんかい。あんたはもう司法試験には絶対通らんよ。あんたのことなんか誰も歯牙にもかけとらんよ。」とのたまわったのです。それを聞いたIさん、それまで我慢していた感情が一気に吹き出し、右拳でKさんの顔面を一発思いっきり殴りました。椅子に座っていたKさんはそのまま後ろにはじき飛ばされました。背の高さは、Iさんは160㎝あまりしかないのに対し、Kさんは185㎝くらいの大男です。一発殴られて酔いが覚めたのか、Kさん、本気になってしまいました。私たちは到底Iさんが勝てるはずもないと思い、Iさんに「早く逃げて下さい。」と言いました。すると、Iさんは警備員室の中の更衣室に立てこもりました。これで争いが収まるかと思いきや、出てきたIさん、それまでの背広からジャージに着替えており、「おい、K、どこからでもかかってこい。」と言って、乱闘を始めたのです。上背は30㎝近く差がありますが、Kさんは酔っぱらっているため殴ろうとしても目標がよく定まりません。これに対しIさんはKさんの顔面に的確にパンチを加え、蹴りを入れたりしており、Kさんを圧倒していました。後で聞いた話ではIさんは空手をやっていたとのこと。2人の乱闘を見ていたSさんが近くからバットを持ち出し、バットでテーブルを一撃し、「ええ加減にせんか。」と言ったかと思うと、「もっとやれ。」と唆しており、めちゃくちゃな状況になってしまいました。それでもなんとか、2人を引き離し、誰かがKさんをアパートまで送って行きました。
 一週間後、私が若い受験生仲間と一緒に口述試験の勉強をしていたところ、Iさんが私のところにやってきて、「古庄、悪いけど一緒にKのところに行ってくれ。」とのこと。私はIさんと一緒にKさんのアパートに行きました。すると、Kさんは布団の中で横になっており、顔は無惨にも腫れ上がり、一見して殴られたことがわかります。Kさん曰く、「子どもにはこんな姿は見せられん(受験生でありながら、当時、Kさんには既に3人の子どもがいました)。女房には本当のことを言ったけれど、子どもには絶対にアパートには来るなと言っている。」とのこと。Iさん、Kさんに謝罪し、私も一緒に現場に居た者として頭を下げました。私が一緒に連れて行かれたのは、10人くらいの中で私が一番冷静だったからということが理由のようです。
 その数日後、論文試験の発表がありました。私もKさんも合格していました。発表から2週間後くらいで口述試験です。この口述試験は、憲法・民法・刑法・商法・訴訟法・法律選択・一般教養選択の合計7科目を各科目ごとに2人の試験官がいろんな角度から質問してくる、いわゆる面接試験です。口述試験の会場でたまたまKさんと会うと、Kさんの顔にはまだ痛々しい傷跡が残り、しかも顔中に絆創膏などが貼られていました。試験官からKさんに対し、「その顔はどうしたのかね。」と何度も聞かれたとのこと。その都度Kさんは、「道路で転んだ。」などと適当な嘘を言ったようですが、誰が見てもケンカしたというのは一目瞭然。
 そして、口述試験の発表の日。悪いことにKさんは口述試験で落ちていました。さあそれからが大変。「落ちたのはIに殴られて顔面に傷跡が残り口述試験官達に悪い印象を与えたからである。」ということで、争いが始まりました。ただ、外部の警察などに告訴したりはしなかったようですが、同じ大学出身の刑法の研究室の助手や検事などが出てきて、私は当日の状況などを事情聴取されました。同じ頃、口述試験の発表があり、私は最終合格しておりましたので、司法研修所に入り、この件から完全に離れることになりました。その後、KさんとIさんの2人から、「古庄は一番若いのに一番お世話になった。」ということで、一席を設けてもらいました。
 翌年、Kさんが司法試験に最終合格し、今、東京の方でかなり大きな事務所を経営しております。一方のIさんは、結局、司法試験を断念し、奥さんの実家に養子に入り、会社の社長になりましたが、15年ほど前、亡くなってしまいました。

 司法試験受験生の頃の出来事ですが、日馬富士の暴行事件を聞き、35年ほど前のことが昨日のことのように思い出されました。酒を飲んでたまに羽目を外すならいいですが、それによって一生を棒に振るということもよくある話。Kさんが万が一、次の年も司法試験に落ちていたら、今頃弁護士として大活躍はされていないでしょう。非常に恐ろしいかぎりです。酒は百薬の長とはいえども飲み過ぎたら最悪の事態を招くこともあります。酒席が多い時期ですが、お互い肝に銘じておきたいものです。




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