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第105回   「共謀罪」成立か

                                                         - 2017年6月2日

「共謀罪」成立か

 今から20年以上も前の話です。当時、大分県は、「東の千葉、西の大分」と言われるくらい選挙違反(特に、現金買収)が多い県でした。
 ある選挙の直後、候補者の弟Aがいきなり警察に逮捕されました。容疑は、「運動員5名(甲・乙・丙・丁・戊)に各30万円ずつを配った。」という現金買収です。Aは、その事実自体は認めていました。
 次の日、その選挙事務所のスタッフ7名が一斉に逮捕されました。容疑は、「Aと○月○日○時ころ共謀して、甲に30万円を渡した。」ということ。要するに、Aと7名の合計8名で「共謀」して、その話し合いの結果にもとづいてAが30万円を甲に渡した、ということです(この時、とりあえず「甲」に対する分だけを出して逮捕し、残りの4名に対する分については出していないのが曲者です。「○月○日○時ころ共謀して、甲・乙・丙・丁・戊に対して各30万円ずつを渡した。」としてしまうと1回しか逮捕勾留できないので、とりあえず、先ず、甲に対する分だけを出してきたのです。)
 Aと7名は、「共謀」の事実については否認していました。Aが単独でやったのであり、残りの7名は関与していないという主張です。Aは5回現金を配りましたが、「共謀」したとされる回数は1回だけです。
 ところで、刑事訴訟法上、「一罪一逮捕・勾留の原則」というのがあります。1つの罪では、1回しか逮捕(最長72時間)・勾留(最長20日間)できないという原則です。この原則から言えば、「共謀」を1回だけした容疑の7名は、1回だけの逮捕・拘留で終わると考えるべきではないでしょうか。
 然るに、その事件で警察は、「共謀」は1回しかないという前提であるにも拘わらず、7名について、先ず、甲さんに対する買収「共謀」容疑で逮捕・拘留し、その期間(23日間)が過ぎると、次に乙さんに対する買収「共謀」容疑で、再度、逮捕・拘留し、その期間(23日間)が過ぎると、今度は丙さん・・・・・という具合に、5回の逮捕・拘留を繰り返したのです。最後の方になると、勾留期間満了日にいったん警察の門のところまで連れ出し、「帰っていいぞ。」と言って解放した直後にまた逮捕するということもありました。23日×5回=115日間。「一罪一逮捕・勾留の原則」に照らしても明らかに異常な長期間の身柄拘束です。
 ところが、私が警察学校で講師をしていた頃、警察の幹部候補生らにこの話をして、「明らかに一罪一逮捕・勾留の原則に違反するからオカシイとは思いませんか。」と聞いたところ、幹部候補生たちは、「オカシイとは思わない。」との返答でした。(「裁判所が令状を発してくれるのだから、何の問題はない。」との意識だと思いますが、裁判所の令状担当裁判官はキャリア5年以内の若手裁判官が大半で、ほとんど捜査機関の言うなり、というのが我々の実感です)。長年弁護士をやってきた我々と現場の警察との感覚の違いを痛感した次第です。
 この事件、長期間の身柄拘束に耐えきれなくなった1人が警察に徐々に迎合するような形で自白調書を作られたため、最終的に、「その自白は信用性が高い。」として、裁判所は全員に対し有罪判決を下しました。しかし、8名全員が、今でも「決して共謀はなかった。」と言っています。私は、この8名を信じたいと思います。
 5月23日の衆議院本会議で、犯罪を計画段階で処罰する「共謀罪」の趣旨を盛り込んだ「テロ等準備罪」を新設する組織犯罪処罰法の改正案が可決されました。現在、参議院で審議中です。その立法の必要性については理解できますが、実際の運用次第では非常に危険な法律であるとも言えるでしょう。理念は立派でも、それを使う人間によって悪法に変わることも十分にありうるので、立法者の方々は、法律を使う人の恣意が介入する余地の少ない法律の整備を目指して欲しいと思います。
 法律は常に「両刃の剣」であるということを肝に銘じておきたいものです。







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