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第104回   垂れ流される税金(諫早湾開門差止訴訟)

                                                         - 2017年5月5日

垂れ流される税金(諫早湾開門差止訴訟)

1 平成29年4月17日、国営諫早湾開拓事業をめぐり、長崎地裁は「開門反対派(干拓地の農業者ら)」の
  訴えを認め、国に対し、「農地に塩害などが生じ、農業者の生活基盤に重大な被害が出る」として開門の
  差し止めを命じました。
2 この裁判は非常に分かりにくいので、整理してみます。裁判には、2つの流れがあります。被告はいずれも
  国です。
   〈開門賛成派(漁業者ら)が原告の訴訟〉
   ①平成22年12月 福岡高裁判決(注①)
     ・・・「国は開門をせよ。」(判決確定(注②))
   ②平成26年4月 佐賀地裁決定(注③)
     ・・・「国は、開門するまで、原告に対し1日につき45万円(のちに90万円に増額)を支払え。」
        ※平成29年4月10日時点で、国は賛成派に対して既に7億9290万円を支払済み。
   〈開門反対派(干拓地の農業者ら)が原告の訴訟〉
   ①平成25年11月 長崎地裁決定
     ・・・「国は開門をするな。」
   ②平成26年6月 長崎地裁決定
     ・・・「(国は開門をするな。)開門したら、閉門するまで、原告に対し1日につき49万円を支払え。」
   ③平成29年4月 長崎地裁判決
     ・・・「国は開門するな。」
3 以上のとおり、2つの矛盾する判決が出されているため、国はどちらに転んでも、解決するまで莫大な金額
  (制裁金)を支払い続けなければならないのです。
 「開門するな。」という長崎地裁の判決は近頃出されたばかりですから、あと、福岡高裁、最高裁で判決が出るまで何年もかかるでしょう。その間、1日90万円の税金が垂れ流されることを考えるとゾッとします。
 それにしても、思うのは、平成22年2月に福岡高裁で判決が出された時点で、どうして国が最高裁に上告しなかったかということです。確かに、最高裁への上告理由は制限されていますが、最高裁は日本に1つしかありません。したがって、いずれは開門するかどうかについての統一的判断が出されます。これに対し、福岡高裁は民事部が5部あります。同じ福岡高裁でも部が違えば結論は異なりますし、新しい高裁判決に以前の高裁判決を打ち消す権限はありません。仮に、今回の長崎地裁判決の控訴が福岡高裁に出されたとしても、平成22年12月福岡高裁判決は生き続けます。長崎地裁の事件で最高裁が「開門するな。」という結論をとっても、平成22年12月福岡高裁の判決は既に確定しているので、その効力を止めることは非常に困難です。半永久的に国は1日90万円を支払い続けなければならないかも知れません。
 一体、何億円支払えば、支払いは終了するのでしょうか。
 一説によると、平成22年当時の菅直人首相が、「私なりの知見がある」と言って、最高裁へ上告せず、福岡高裁の判決を確定させてしまったとのことです。その皺寄せが、今、我々国民に来ていると言ったら言い過ぎでしょうか。

   (注①)「判決」・・・裁判所が法廷で口頭弁論を開いて証拠調べをしたうえで言い渡す終局的な結論。
   (注②)「確定」・・・言い渡された判決に対して、もはやこれ以上誰も争えなくなる状態のこと。
   (注③)「決定」・・・仮処分決定のこと。裁判所が口頭弁論を開かずに、原則として申立人のみの言い分
               を聞いて出す命令。判決よりも前に出される暫定的な処分。








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